【第1回】玉掛ワイヤ「3Kロック」という基準
建設現場では、揚重作業が日常的に行われています。
重量物を吊り上げる作業には、さまざまな機材が関わり、その一つひとつが安全を支えています。 協和ロープでは単に資材を納めるだけでなく、玉掛けワイヤロープの加工をはじめ、機材の供給・配送・整備までを自社で一貫して行っています。
こうした体制によって、現場の安全を支えています。
本シリーズでは、そうした協和ロープの裏側を数回に分けてご紹介します。
第1弾となる今回は、当社の玉掛けワイヤロープ加工の基準となっている「3Kロック」という考え方についてお話しします。

3Kロック誕生の理由
当社加工の玉掛けワイヤには、「3Kロック」という名称を付けています。
3Kとは、次の3つの考え方を表しています。
Keep up safety(安全性を維持する)
Keep up trust(信頼を維持する)
Keep up high cost performance(高いコストパフォーマンスを維持する)
「当たり前」の品質レベルを高く設定し、それをいかなる時も維持し続けること。
目立つ言葉ではありませんが、 加工の一つひとつに、その考え方を反映させています。
規格の先にある「加工」のこだわり
玉掛けワイヤは、安全に吊り荷を揚重するために使用される重要な資材です。
JIS規格に適合したワイヤロープを用い、アイ部分を加工することで玉掛けワイヤとなります。
加工方法にはクランプ管による圧縮加工のほか、ワイヤを手作業で編み込むアイスプライス加工などがあります。
当社には国家資格である「ロープ加工技能士」の有資格者が在籍しており、用途や仕様に応じて高水準の技術で製作にあたっています。
JIS規格では玉掛けワイヤの使用基準こそ定められているものの、加工そのものに関する細かな規定はありません。つまり、どのように加工するかが品質を大きく左右する製品でもあります。
このため当社では、独自の基準としてクランプ管による圧縮加工についてもロープ加工技能士が担当することを徹底しています。
加えて、電動油圧ロック機を使用し、ワイヤ径に応じて700t・1000tのプレス機を適切に使い分けることで、安定した品質を確保しています。
こうした万全の加工体制のもとで設けている独自基準が「3Kロック」です。
Safety
3Kロックの安全性を支える仕様のひとつが、クランプ管です。
一般的に使用されるのは「W管」ですが、当社では9mm〜24mmのワイヤについて、より長さのある「WN管」を標準基準としています。
なぜ、コストのかかる長い管を使うのか。
それは、クランプ管端部から出る “ヒゲ” を最小限に抑えるためです。現場で使用者様がワイヤを掴んだ際、わずかな突起でも怪我や吊り荷を傷つける原因になり得ます。
また、ロック加工後に残るバリ(バミリ)を削り落とす仕上げも欠かしません。
こうした「微細なリスクの排除」こそが、3Kロックの「安全」を支えています。
Trust
現場には多種多様なワイヤが混在します。3Kロックでは、クランプ管にワイヤ径や種類(IWRCなど)の刻印を施しています。
加工後も仕様が確認できるようにするためです。 現場での確認作業を容易にし、取り違えや誤使用の防止につなげています。
目立つ部分ではありませんが、こうした可視化の積み重ねが誤使用による重大事故を防ぎ「信頼」を繋いでいきます。
High Cost Performance
高いコストパフォーマンスとは、単に価格が安いことではありません。
安全性を高める仕様や、品質を安定させる加工体制を整えることは、 結果として事故リスクや再製作のリスクを減らし、長期的なコスト最適化につながります。
価値に対して適正であること。
それが、3Kロックの考える「高いコストパフォーマンス」です。

3Kロックは、特別な名称ではありません。
日々の加工の中で積み重ねている基準そのものです。
次回は、この3Kロックの基準を文字通り形にしている「加工係」をご紹介いたします。
継承されている職人たちの深い“こだわり”と確かな“技”をご紹介します。
一覧に戻る